茨城大の掛貝祐太准教授=2025年7月7日、東京都、床並浩一撮影

 改選後の勢力図を焦点に激しい争いが繰り広げられている参院選。物価高対策として公約に掲げられた現金給付や消費減税に代表される各党の政策について、専門家はどのように見るのか。財政民主主義を研究している茨城大の掛貝祐太准教授(財政学)に聞いた。

「その場しのぎ」の政策

 ――参院選の政策論争をどのように見ますか。

 「物価高対策をはじめ、その場しのぎの政策が多い印象を持っている。国民1人あたり2万~4万円を給付する場合、最低でも2.6兆円くらいかかるが、2兆~3兆円あれば、(大学教育など)高等教育無償化も可能だといわれている。その場しのぎではない恒久財源を示す必要があるが、同規模の予算で実現可能な恒久政策が比較対象として論点にならないことに違和感を覚える」

 ――現金給付や消費減税をめぐり、裏付けとなる財源が明確に示されず、与野党双方が批判合戦を繰り広げています。

 「各党が示す財源の中身を見ると、果たして大丈夫だろうかと思うものも多い。たとえば、現金給付を掲げる自民、公明両党の場合、財源として(2025年度の)税収の上ぶれ分を充てるというのでは、ほとんど何も言っていないに等しい」

 「野党の見積もりも甘いのではないか。立憲民主党のように基金や外国為替資金特別会計剰余金で財源を捻出できるのか。共産党が主張するように無駄の削減も大事だが、(09年に政権をとった)民主党のもとで大なたがふるわれた事業仕分けで確保できたのは、目標額3兆円の半分程度だった。支出拡大と減税を掲げながらも赤字国債の発行自由化や終末期医療の削減を主張する参政党の財政論はほとんど無策だ」

財源論に踏み込めないのは…

 ――なぜ裏付けに乏しい財源…

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