公立学校教員の給与をめぐって、文部科学省と財務省が対立している。
背景にある「長時間労働」の現場に身を置く当の教員たちは、どんな思いで議論を見ているのか。
「どうせ変わらない」「絵に描いた餅」――。両省案への賛否にとどまらない、課題の深刻さが浮かぶ。
「財務省案の方がはるかにまし」
岐阜県立高校の西村祐二教諭(45)は11月8日に記者会見し、そう語った。
公立校教員は、残業代を払わない代わりに、定率の「教職調整額」を月給に上乗せ支給する制度が続いてきた。これでは使用者側に時短意識が生まれにくいとして制度改正を訴えてきた西村さんは、財務省が将来的な制度廃止を検討していると評価する。
財務省と文科省の論争は、この教職調整額がテーマの一つだ。
文科省は、今の「基本給の4%」から「13%」まで来年度中に一気に増やし、さらに全国で約7600人の増員もする案を出した。今は「小学5年生以上」としている教科担任制の学年を増やすことで分業を広げ、時間外勤務も減らすと主張している。
一方、11月に財務省が示したのは、時間外勤務を目標まで削減できれば翌年度の教職調整額を増やすという案。時間外勤務の削減を後押しする狙いが強調された。
「文科省案では『定額働かせ放題』温存」
東京都内の公立中に勤める五…