映像は動く絵画で、絵画とは時間の層である――。室内空間などに描画する過程をコマ撮りした映像作品で知られる美術家・石田尚志(たかし)さん(1972年生まれ)の大規模個展は、平面と空間、物質と時間を往還する詩情に満ちている。
映像の舞台は青い薄明かりの部屋。壁には正方形の窓があり、カンバスが画中画のように掛かっている。窓に切り取られた光はやがて変形、収縮する四角形となって空間を転がり、増殖する描線が壁や床を染め上げる。
インスタレーション「絵と窓の間」の中心となる映像の長さは、現代音楽家ジョン・ケージの有名な曲を想起させる4分33秒。定点撮影した室内の映像を複数重ねたり、逆再生させたりして展開する手法は、バッハの音楽をドローイングに置き換えたアニメーション作品「フーガの技法」と同じく、映像と音楽がともに時間芸術であることを思い出させる。
それに対して、絵画の時間性…