石川県輪島市の町野川で採集されたニホンイトヨ=2023年3月11日午後4時19分、石川県輪島市町野町、のと海洋ふれあいセンター提供
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 能登半島地震の影響で、石川県能登町から輪島市を通り、日本海に注ぐ町野川(2級河川、全長21キロ、流域面積169平方キロ)は大きなダメージを受けた。同県のレッドリストで絶滅危惧Ⅰ類に指定されている小型魚「ニホンイトヨ」の生息が近年で唯一、確認されているだけに、研究者らは希少種の行く末に気をもんでいる。

 県の学習施設「のと海洋ふれあいセンター」(能登町)によると、成長しても体長6、7センチにしかならないニホンイトヨの寿命は1年。河口部の近くを流れる緩やかな支流や、川とつながっている用水路の泥底のくぼみに水草で巣を作り、5月ごろに卵を産み付ける。

 卵は10日ほどで孵化(ふか)し、3センチほどの大きさまで育った後、夏場にかけて海に下る。海では岸に近い沿岸部で小型の甲殻類などを食べ、産卵のために翌年3月ごろから河川への遡上(そじょう)を開始する。

 ニホンイトヨはかつて、九州から北海道にかけて日本海側を中心に広く分布していた。ところが河川環境の変化などから個体数が激減し、富山県や長崎県などでは既に絶滅。福岡県でも30年以上も発見例がなく、現在は石川県など13県のレッドリストで絶滅危惧Ⅰ類に指定されている。

石川では2023年に6年ぶり発見も、能登地震で生息不明に

 県内では2016年6月、七…

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