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奈良県庁の議会棟=2025年3月24日、奈良市登大路町、阪田隼人撮影

 議員の実質的な交通費にあたる「費用弁償」をめぐり、奈良県議会で相反する二つの条例改正案が25日に議員提案されることがわかった。これまで支給額の根拠となっていた国の制度が変更されることに伴い、第2会派の日本維新の会が廃止を提案。一方、最大会派の自民党・無所属の会は、県職員の規定に準じた形で支給を続ける改正案を提案する構えだ。

 焦点となっている費用弁償は、本会議や委員会に出席する際などにかかる実質的な交通費。奈良県議会では、議員報酬(年約934万円)、期末手当(年約378万円)、政務活動費(年336万円)とともに条例で定められている。

 現行では、自宅から2キロ以下は往復で200円、2キロ超~4キロは300円、4キロ超~6キロは500円といったように、移動距離に応じた金額が支給されている。

 だが、その算定根拠となっていた国家公務員の交通費の基準額が、国の法改正で4月から実費精算に切りかわることになったため、このままでは条例の規定自体が根拠を失うことになる。

 維新はこれを機に、自治体の財政状況が厳しい中で「政治への不信感を払拭(ふっしょく)し、議会への信頼を高めるため」に、4月から廃止する条例改正案を提案する予定で、立憲系の新政ならも賛成する見込みだ。一方、自民会派は県職員の規定に準じて減額・維持する条例改正案を提案する方針だ。

 費用弁償については、大阪府議会が「財政危機打開に向けて積極的に取り組む姿勢を示すため」に、2008年8月から府内や隣接自治体への移動への支給を廃止。東京都議会も「身を切る改革を率先して実行するため」として、17年度から本会議出席などのための費用弁償は原則廃止している。

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