兵庫県の斎藤元彦知事らが内部告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員を務める増山誠県議(維新の会)は19日のインターネット番組で、昨年10月に非公開で行われた百条委の証人尋問の音声データを政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏に渡したと明らかにした。今後については「議員辞職するつもりはない。百条委員会の委員を辞めるという責任の取り方を考えている」と述べた。
知事選が告示された昨年10月31日、立候補した立花氏は明石市であった街頭演説で、音声データを聴衆の前で公開した。音声には、片山安孝・前副知事が10月25日の百条委の証人尋問で、告発文書を作成した元西播磨県民局長(故人)の公用パソコンにあった私的文書の内容を話し出し、奥谷謙一委員長に制止される、という内容が含まれていた。
- SNSの県議中傷に「一般論」繰り返す 静観の斎藤知事に疑問の声
- 維新・岸口県議「反論できない」 立花氏への情報提供問題で党に説明
百条委は知事選への影響を考慮し、この回を含む10月24、25日の証人尋問を非公開とし、選挙後に録画を公開する方針を10月11日に決定。さらに、元県民局長からプライバシーに関わる資料に配慮するよう申し入れがあり、県情報公開条例では通常他人に知られたくないと認められるものは非公開情報とする規定もあることから、片山氏が元県民局長の私的文書に言及した部分は録画公開後も非公表とすると決められた。
県議会事務局によると、会議規則で、秘密会の議事の情報漏洩(ろうえい)は禁じられている。
増山氏は番組の中で「10月25日の片山前副知事の発言を録音して立花氏に渡したのは私です」と発言。「選挙後に公開すると委員会で決定していたので、期日より前に提供したことはルール違反」と述べた。
片山氏は証人尋問で、告発文書を作成した背景に不正な目的があったと主張。増山氏は「(この主張が)県民に知らされないまま選挙が行われるのが正しいことなのか、という強い思いがあった」と主張し、立花氏の発信力に期待して音声を渡したという。
SNS上では知事選の期間中、この音声データなどを元に真偽不明の元県民局長に関する私的情報が拡散されたほか、百条委の委員らが「都合の悪い情報を隠した」などと激しい批判を受けた。