Smiley face

 パレスチナ自治区ガザでの停戦合意は「薄氷の合意」とされ、1月19日の発効当初から崩壊が懸念されてきた。イスラエルとイスラム組織ハマスは、ガザに拉致された人質とイスラエルが拘束しているパレスチナ人の交換を進めること以外、意見が一致していなかったからだ。

 停戦交渉の最終局面では、当時就任間近だった米国のトランプ大統領らからの圧力もあり、どうにか戦闘の休止にこぎつけた。停戦の第1段階として設定された6週間が過ぎ、双方の溝は一層深まっている。

 第1段階ではこれまで、2千人近くの拘束中のパレスチナ人の釈放と引き換えに、8人の遺体を含む33人のイスラエル側の人質が引き渡された。実際に人質が次々と解放されたことを受けて、イスラエル国内では、停戦を継続させて、人質のさらなる解放を目指すべきだとの世論が高まっている。

 ただ、イスラエルのネタニヤフ政権内の極右閣僚らは当初から、合意の第1段階が終わり次第すぐに、ハマスを壊滅させるため、戦闘を再開するよう強く求めてきた。極右閣僚が率いる政党が離脱すれば、連立政権は崩壊しかねない。国内で停戦継続と戦闘再開の意見が分かれる中、対応を慎重に検討しているとみられる。

写真・図版
パレスチナ自治区ガザ南部ラファで2025年3月1日、がれきの近くでラマダン(断食月)の礼拝を行うパレスチナ人=ロイター

人質はハマス唯一の「交渉カード」

ここから続き

 イスラエルメディアによると…

共有