日本を代表するコメの生産法人の一つ「穂海農耕」(新潟県上越市)の社長が2022年12月、創業者の丸田洋さん(49)から平井雄志さん(53)に交代した。平井さんは農業経験のない元大手総合商社員。転身の経緯や日本の農業が抱える課題、自身が夢見る「アカデミー構想」への思いを聞いた。
穂海農耕は05年に丸田氏が創業した。当初の耕地面積は約9ヘクタール。近隣の農家から依頼があれば、条件の悪い水田も断らず、全て引き受けることで信頼を得ながら規模を拡大してきた。
いまでは会社のある上越市板倉区の水田全体の約4分の1にあたる240ヘクタールを耕作。出荷・販売を担う「穂海」など3社のグループ体制を築いている。
大きな特徴の一つが原則正社員として雇用する従業員の働き方だ。「休日年106日」「賞与年2回」など都会の会社勤めのような条件で、通勤・住宅手当や資格取得支援といった制度も設けている。
稲作は季節によって作業量が大きく変動するが、勤務時間も午前8時半から午後5時半が原則だ。作付けや収穫の時期が異なる10品種を組み合わせて農繁期の作業を極力分散し、農閑期に届け出制の長期休暇制度をつくるなどの工夫を重ねる。
社員の顔つき変えた「成長対話」
「モノもカネも働くヒトがい…