北京で2024年6月29日、ミャンマーのテインセイン元大統領(左)と握手する中国の外交部門トップの王毅・党政治局員兼外相=新華社

 3年前のクーデターでミャンマーの全権を握った国軍が、先送りしてきた総選挙に向けて動き始めている。激しい内戦で先が見通せないなか、中国が、新しい国の体制づくりを「後押し」しようとしている。

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 「国勢調査に参加しましょう 2024年10月1日から15日」

 そう書かれた大看板が今月、ミャンマー最大都市ヤンゴン中心部に設置された。国営テレビでは、少数民族の衣装を着た人らが「国勢調査に答えよう」と訴える宣伝が流れる。国民に広く呼びかける狙いのようだ。

 国軍は今年中に国勢調査を行ったうえで、国軍による統治の正当化に使ってきた非常事態宣言を解除し、2025年に総選挙を行う青写真を描いてきた。なぜ国勢調査が必要なのか。

「公平性」演出の国軍 実際は政党排除も

 ミャンマーでは20年の総選挙で民主化指導者アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が勝利。その翌年に国軍がクーデターで全権を掌握した。国軍は20年の総選挙で「二重投票」などの不正が1千万件以上あった、と批判してきた。国勢調査を経て有権者名簿を作り、次の選挙の「公平性」の根拠にする思惑がある。

 ただ、公平な選挙になるかは…

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