内戦下のミャンマーで、国軍が失地回復に躍起になっている。年末の総選挙を見据えて失った地域を奪い返し、投票できる地域を少しでも多く確保して、選挙の正当性を高めたい思惑とみられる。
- 自軍に誤爆、撤退の兵士を射殺…敗退のミャンマー国軍 関係者の証言
「11カ月間の作戦の末、完全に奪還した」
国軍は16日、少数民族武装勢力・タアン民族解放軍に支配を許していた北東部シャン州のナウンチョを奪ったと発表した。同勢力側も声明で陥落を暗に認め「国軍は5月以降106回の空爆、4692回の砲撃、186回の毒ガス攻撃をした」と説明した。ナウンチョは中国との交易路にあり、国軍は3月末にミャンマー中部で起きた地震直後も空爆を続けてきた。
今月3日には、民主派武装勢力が支配していた同州南部の要衝の奪還も発表。民主派の支配地が広がる同国北西部では11日、国軍が修道院を空爆し、少なくとも22人が死亡した。
2023年10月に複数の少数民族武装勢力が蜂起した「1027作戦」を機に、国軍は広がる戦線に対応できず、支配地を次々と奪われ、対抗手段として空爆を重ねてきた。民主派・国民統一政府(NUG)は今年3月の地震後、全国で国軍の空爆が約600回行われたと主張する。
中国やロシアが戦闘機や燃料を支援しているのに加え、国軍内部では空爆の「簡素化」も進んでいると、ある国軍関係者は明かす。
国軍では全国に14ある軍管…