奈良県内で実施された発掘調査の成果速報展「大和を掘る 39」が、橿原市畝傍町の県立橿原考古学研究所付属博物館で開かれている。縄文から明治時代までの出土品約400点を展示している。
飛鳥時代の歴代宮殿跡が重なる明日香村の飛鳥宮跡からは、舒明天皇(在位629~641)が最初に築いた飛鳥岡本宮の塀とみられる柱跡のはぎ取り断面を展示。柱の痕跡に赤く焼けた土が入っている。全国4例目で、完全な状態で出土して話題になった田原本町・宮古平塚古墳(6世紀前半)の太鼓形埴輪(はにわ)も並んだ。
江戸時代に埋められた甕(かめ)と、中に入っていた土器や銅銭、銅製のかんざしは、奈良市・東大寺二月堂近くの調査で出土した。奈良時代から続く「お水取り」のために二月堂にこもる練行衆(れんぎょうしゅう)のトイレ跡とみられ、取り壊された際に何らかの儀式を行ったらしい。
奈良市・平城京跡の宅地の井戸で見つかった大甕は直径が1メートル近くあり、500リットルほどの容量とみられる大型品。酒などの製造や貯蔵に使われた可能性がある。橿原市・芝ノ前遺跡では室町時代の墓地跡が見つかり、常滑焼の甕が火葬骨を納める骨蔵器として埋められていた。
展示を担当した木村理恵・主任研究員は「各遺跡で甕が様々な使われ方をしていることにも注目してほしい」と話す。
9月16日まで。月曜(8月12日、9月16日を除く)と8月13日休館。入館料大人400円、高校・大学生300円、小中学生200円。問い合わせは同館(0744・24・1185)へ。(今井邦彦)