平尾彩乃さん=2024年9月2日午前10時2分、鳥取市立逢坂小学校、富田祥広撮影

 平尾彩乃さん(25)は幼い頃、机に向かって勉強するのが苦手だった。

 夢中になれたのは空き箱などで何かをつくること。リカちゃん人形の洋服、部屋、ベッド……。

 小学校での忘れられない思い出は「全校表現」の活動だ。地元の昔話や言い伝えを劇にして、学習発表会で地域の人たちに毎年披露した。

 当時の全校児童は約40人。同級生は5人。みんなで地域の人たちに話を聞いて、セリフや動きを覚え、小道具やセットを手作りした。効果音も自分たちで演奏した。

 みんなで何かをつくるのは本当に楽しかった。

 地元の中学校から工業高校に進み、大学ではデザイン工学を学んだ。いまは大学院で建築などの研究に取り組んでいる。

 建築は、小学校での全校表現と似ている。その場所について調べ、プランを考えて、みんなで完成をめざす。デザインする力と、他人と協力する力。テストの点数では測れない力が必要だ。

 誰かと協力して、何かをデザインする――。これから歩みたい道を、ぼんやりとイメージした。

幼い頃の体験と記憶が、25歳の今に大きくつながっているそうです。平尾さんのある1日を取材しました。

創立115周年の母校を訪れて

 今月2日、鳥取市気高町の逢…

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