【動画】雌4頭の群れで飼育しているアジアゾウ=川原千夏子撮影、円山動物園提供

 動物園の人気者ゾウは国内で100年以上飼われてきた。しかし、野生生物の絶滅を防ぐためのワシントン条約で国際的な商取引は難しくなっている。動物園は群れでの飼育など環境を整え、科学的管理を導入するなど国内での繁殖に取り組む。(川原千夏子)

 札幌市の円山動物園で昨年8月、雌のアジアゾウが誕生した。繁殖は国内17例目で、初めての「道産子」ゾウの誕生だった。

 ミャンマー語で「輝き」を意味するタオと名付けられ、10カ月で体重は誕生時の5倍近い500キロを超えた。母ゾウのパール(20)を含めた3頭の雌と暮らす。タオが何かに驚き、鳴き声を上げると、3頭が一目散に集まり守るように囲む。

群れによって飼育されるアジアゾウ。左から2頭目がタオ=2024年6月8日、札幌市の円山動物園、川原千夏子撮影

 飼育員の野村友美さん(30)は「群れの中で暮らすのは子ゾウの体にも心にも良いこと。母ゾウにとっても息抜きができ、ワンオペの子育てと比べて成長が違う」と目を細める。

 同園は2018年11月、ミャンマーから4頭のアジアゾウを受け入れ、12年ぶりに飼育を再開した。その際に導入したのが、準間接飼育と呼ばれる手法だ。ゾウと同じ空間に飼育員が入らず、健康管理は柵を隔てて行う。ストレスを減らし、飼育員や獣医師の安全も確保する方法として世界で導入が進む。

 さらに、「ゾウがゾウらしく…

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