世界自然遺産・知床にある羅臼岳(標高1661メートル)で、下山途中の男性がヒグマに襲われて死亡した事故で、北海道は19日、駆除されたクマが男性を襲ったクマと同一個体であると断定した。DNA分析の結果、駆除された親子の母グマと男性を襲ったクマのDNA型が一致した。
道ヒグマ対策室によると、分析は、道立総合研究機構で実施した。母グマの肝臓から採取したDNA型が、亡くなった男性の衣服に付着してた体毛や唾液(だえき)の型と一致したという。
一方、道は羅臼岳の登山道周辺に出しているヒグマ注意報は継続することを決めた。地元の斜里、羅臼両町と協議し、事故直前に登山道周辺であった複数のつきまといや目撃情報に基づく不安が解消されていないとした。
事故は今月14日に発生。標高550メートル付近の登山道で、東京都墨田区の男性会社員(26)が襲われ、翌15日、約200メートル離れた山中で見つかり、死亡が確認された。死因は「全身多発外傷による失血」だった。2005年に知床が世界自然遺産に登録されて以降、登山者がヒグマに襲われて死亡するのは初めて。