日用雑貨の企画・販売老舗「中川政七商店」(本社・奈良市)が大阪・関西万博に合わせて発売した「ミャクミャク」グッズが人気だ。実用的な工芸品を主力とする同社にとって美術工芸の分野はチャレンジだったが、結果は「予想外の売れ行き」に。伝統工芸の職人たちの励みになっているという。
コンセプトは「ミャクミャク 工芸と、出会う。」。いずれも万博の公式ライセンス商品だ。
佐賀県伊万里市の磁器「鍋島焼」のミャクミャク(高さ25センチ、税込み55万円)は、4月13日の開幕日から連日のように売れており、増産中。こまやかな模様が一筆一筆丁寧に描かれているのが特徴で、同社広報担当者は「かわいいだけではない、新しい魅力を感じてもらえているのでは」。
2体限定で制作された「漆のミャクミャク」(高さ25センチ)は税込み165万円とかなり高額だが、発売から1週間で売れた(もう1体は5月に抽選販売)。目の部分には螺鈿(らでん)や、細かく砕いた卵の殻を貼って漆を重ね塗りした「卵殻(らんかく)貼り」の技法、ボディーには色に合わせて「変わり塗り」「真(しん)塗り」と呼ばれる技法を使い、漆ならではの艶(つや)や存在感が出た。
このほか、絵柄にさりげなくミャクミャクも描かれた有田焼の豆皿(税込み2750円)、瀬戸焼の小さなミャクミャクの底面のひもを引くと「お告げ」の紙が出てくる「おミャクじ」(同1650円)なども、手頃なお土産として人気が高いという。
万博会場内のオフィシャルストアは連日にぎわい、広報担当者は「職人さんたちは、万博は『技術が生かされるだけでなく、技術を磨く場にもなった』と喜んでいます」と話す。
商品などの詳細は同社のサイト(https://www.nakagawa-masashichi.jp/)で。