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北海道羅臼沖の深海から採集された新種のヒトデ「ホウユウシアワセモミジガイ」=アクアマリンふくしま提供

 北海道・知床半島の羅臼町沖で、新種のヒトデが見つかった。オレンジ色で、大きさは10センチほど。体表には細かいトゲが生えており、羽毛のようにフワフワとした手触りが特徴という。

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 羅臼町沖の深海(水深930~1170メートル)から、2個体が採集された。発見したのは、福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」と神戸大、東京大の研究チーム。国際的な学術誌に論文を発表し、「ホウユウシアワセモミジガイ」と命名した。

 調査に協力した漁船「第31豊佑(ほうゆう)丸」にちなんで和名に「ホウユウ」という文字を入れたという。

 いずれも、高級魚のキチジやカレイ類を狙う「深海刺し網漁」によって捕獲された。

 漁船に乗船した同水族館主任技師の日比野麻衣さん(39)らが標本を集め、宅配便で神戸大へ送るなどして体の特徴を詳しく調べた。

 その結果、これまでは南極大陸の周辺海域でしか見つかっていなかった「シアワセモミジガイ属」のヒトデと判明した。このグループのヒトデの生息が確認されたのは、北半球では初めてという。

 同水族館はこれまでも、羅臼町沖で生物の採集と調査に取り組んできた。研究者と共同で、深海にすむ魚や甲殻類の新種を次々と論文に発表している。今回のヒトデは16種目の新種となる。

 日比野さんは「羅臼沖は、とても生物の種類が豊富な海域。調査をするたびに新しい発見があってワクワクします」と話している。

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