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横浜市立大教授の斉藤広子さん

 新築マンションの価格高騰が続くなか、中古マンションに目を向ける人も多くなっています。一方で、築年数の古いマンションは様々な「老い」にも直面しています。マンション管理に詳しい横浜市立大の斉藤広子教授に、マンションの老いの現状と課題、これから所有者に求められることなどを聞きました。

想定していなかった問題

 マンションの「老い」が進んでいます。国土交通省によると、2023年末でマンションは全国に約704万戸あり、1500万人が住んでいると推計されます。このうち2割近くにあたる約137万戸が築40年以上です。

 築40年が一つの目安になるのは、1981年以前の旧耐震基準で建った物件が多いからです。また大規模修繕のサイクルは一般に15年前後で、3回目を挟んできちんと修繕・維持されている建物がある一方、なかには一度も大規模修繕をしていない場合もあり、そうした物件では水漏れやコンクリートの落下など「建物の老い」が顕著になってきて二極化しがちです。修繕を一度もしていないマンションでは、当初から長期修繕計画や修繕積立金がないというケースすらあります。

 また建物は維持できていても、エレベーターやオートロックや宅配ボックスがない、二重窓ではないといった現代の設備水準とのギャップは大きくなります。

 さらに、こうしたマンション…

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