弱視や老眼といった視覚障害がある人でも、ウェブサイトを無理なく見られるツールを名古屋市のベンチャー企業が開発した。愛知県や名古屋市の事業のサイトや三重県桑名市のホームページなどで導入されている。ウェブのバリアフリー化をめざす「ウェブアクセシビリティー」の配慮は海外では一般的だが、国内でもようやく広がりつつある。
13日から購入申し込みが始まった名古屋市の「名古屋プレミアム付き商品券」の専用サイト。ページの右上にある人の形のアイコンをクリックすると、視覚障害対応のツール「フェアナビ」の画面が現れる。
「老眼」「弱視」「色弱」「てんかん」など7種類の障害に対応。例えば「老眼」をONにすると、文字のサイズや間隔のほか、カーソルの大きさや画面の明るさもワンクリックで変更できる。「てんかん」を選べば、動画の停止機能もある。自分に合った設定を自由にできるカスタマイズ機能もあり、設定はサイト上で引き継がれる。
フェアナビは、愛知県がスタートアップ(起業)の支援や育成をめざして設置した「STATION Ai」や、日本農業新聞のサイトなどにも導入されている。
めざすのは「障害による情報格差のない世界」
「障害や年齢に関係なく、誰でもウェブサイトの情報にアクセスしやすくする提案が評価された」。開発した「KANNON」CEO(最高責任者)の山下青夏(せな)さん(21)は話す。
山下さんは昨年4月から英国に滞在、企業や官公庁のウェブサイトでは視覚障害への配慮が当たり前になっていることに衝撃を受けた。「英国ではウェブアクセシビリティーが法律で厳しく規定され、対応を怠ったことで訴訟になるケースもある」という。
ここから続き
一方、日本では対応が進んで…