阪神・淡路大震災時、倒壊して救助活動や物資輸送の妨げになり、必要性が明らかになった道路沿いの建物の耐震化。震災から30年経った今も進んでおらず、国土交通省によると、主要な緊急輸送道路沿いにある建物で、耐震性が不足しているのは、昨年4月時点で17都府県計4110棟にのぼる。南海トラフ地震や首都直下地震の発生が切迫しているとされており、対策が急務だ。
1995年の阪神大震災では、住宅約25万棟が全半壊した。国は同年に耐震改修促進法を制定し、81年以前の旧耐震基準で建てられた建物の耐震診断や改修を進めた。
同法は東日本大震災後の2013年に改正され、緊急輸送道路などの中で自治体が避難に重要として指定した路線沿いにある建物について、所有者に耐震診断、自治体に結果の公表を義務づけた。
対象となる建物は、旧耐震基準で建てられ、倒壊した場合に隣接する道路の半分以上を塞ぐ恐れのあるものになる。
国土交通省によると、耐震診断の結果を公表しているのは17都府県。対象となる建物7291棟のうち、震度6強以上の地震で倒壊する危険性があるのは4110棟、耐震改修や建て替え、除却によって倒壊の危険性がないのは3181棟で、耐震性不足の解消率は43・6%にとどまる。
17都府県の中で、耐震性不…