レジ袋や割り箸は要りますか。電子レンジで温めますか。ポイントは……。福岡県久留米市のろう者で漫画家の平本龍之介さん(43)が、スーパーやコンビニのレジで交わされがちなやり取りを聴覚障害者もスムーズにできるよう、意思を伝えられるカードを作った。

 同市で今年3月3日の耳の日にあったイベントに合わせて作成した「コミ×カード」(読みはコミカード、税込み500円)。キャッシュカードサイズで財布に入れることができる。

 両面に「耳が聞こえません」との表示があり、13種のイラストと、○と×の組み合わせで意思を伝えることができる。レジで財布やケースからカードを取り出し、割り箸のイラストを指さして「×」を指せば「割り箸は不要です」と伝えられる。

 コロナ禍を経てマスク着用の人が多くなり、聴覚障害者にとってはレジの店員に意思を伝えることが難しくなった。マスク越しでは、表情もわからず読唇術も使えないからだ。「筆談をお願いすると後ろに行列ができてしまうのでお願いしにくい」と平本さんは言う。

 買い物時のコミュニケーションに使ってほしいと平本さんは2020年9月、エコバッグに17種のイラストを載せた「エココミ」を作った経験がある。今回は利便性を考慮してバッグからカードにサイズダウンした。スペースが限られているため「よく使うイラストを選抜するのに苦労したかも」と話す。

 「コミ」と「カード」の間に誤読を防ぐ意味とデザインとして「×」を入れた。これまでに約40枚が売れ、利用者から「便利すぎて買い物やお出かけに手放せない」「店員さんが話される前にカードを見せてよかった」といった感想が届いている。

 平本さんによると、コンビニや小売店がコミュニケーション支援ボードを用意したりアプリを開発したりしていて、聴覚障害者への理解は徐々に広まっているという。

 問い合わせは平本さんのメールアドレス(ryunosukehiramoto@yahoo.co.jp)へ。(西田慎介)

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