外国人技能実習生の指導員として働いていた女性の事業場(職場)外での勤務に、実労働時間に関係なく規定の時間を働いたことにする「みなし労働時間制」を適用できるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(今崎幸彦裁判長)は16日、「適用の余地がある」との判断を示した。「適用できない」とした二審・福岡高裁判決を破棄し、適用の可否を改めて検討させるため審理を高裁に差し戻した。
労働基準法は、職場外の労働時間が「算定し難い時」はみなし制が適用できると規定する。
二審の検討「不十分」
原告は九州各地の実習先の指導をしていた女性(41)=熊本市=。勤務先の監理団体が「出先の労働時間が把握できない」としてみなし制を適用したのに対し、女性は「労働時間は把握できた」と主張し実労働時間分の未払い賃金を求めていた。
一、二審は、女性が作成・報告した業務日報で、団体は労働時間を把握できたと判断。みなし制適用を否定した。だが、第三小法廷は、業務の内容や指示・報告の方法などから、女性の勤務把握が「容易だったとは言い難い」と指摘。日報で労働時間が把握できるとした高裁判決は、日報の正確性の検討が不十分で、改めて審理が必要だと結論づけた。
みなし制適用、企業側のニーズは?
最高裁は2014年、旅行ツ…