大リーグ・メッツの入団会見で背番号「34」を見せる千賀滉大=2022年12月19日、ニューヨーク、中井大助撮影

 福岡ソフトバンクホークスの「目利きの力」について、スカウト部アドバイザーの小川一夫氏(71)に聞いた。

 育成出身初の大リーガーとなった千賀滉大(メッツ)を指名したときのスカウト部長。長くアマチュア選手獲得の最前線で活動し、常勝チームの礎を築いた一人だ。

 ――小川さんがスカウト部長時代に育成指名された千賀投手が大リーグ2年目。

 「千賀は(ドラフト前に)僕が唯一、生で見ていない選手。そんな選手は今までいなかった」

 「全選手の調査が終わった(2010年の)ドラフト直前、付き合いのある方から『いい投手がおるんや』って電話があって、スカウト3人に投球の動画の撮影、球速の測定に向かわせた。キャッチボールと投球を見たら、すごい素材だと。直感ですね。関節の可動域の広さと柔らかさは今まで見たことがなかった」

 「球速は143キロ。この投球フォームでこれだけスピードがあれば普通ならドラフト候補。でも、どこの球団からも調査書が来ていなかった。厳密には2球団は見に来ていたけど、大学進学を勧めて帰ったと聞いた。担当に『育成の最後でもいいの?』と言ったら、最後でも取れますと」

 ――小川さんは翌年、2軍監督に就任。

 「ずっとスカウト歴が長い中…

共有
Exit mobile version