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衆院予算委で、立憲民主党の長妻昭氏の質問に答弁する石破茂首相=2025年5月12日午前9時31分、国会内、上田幸一撮影

 サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(ACD)」を導入する法案が16日、参院本会議で可決・成立した。自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主などが賛成し、共産党、れいわ新選組などは反対した。同法成立で、政府は平時からネット空間を監視して通信情報を収集・分析し、攻撃元サーバーへの侵入・無害化をすることが可能となる。2027年中に本格的な運用が始まる見通し。

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 政府は、外国発で日本を経由して国外に送られる「外外通信」と日本と外国間の「外内・内外通信」を対象に、IPアドレスや送信日時などを収集・分析する。メールの中身など通信の本質的な内容は対象外だと説明している。新設される独立機関「サイバー通信情報監理委員会(監理委)」が政府の運用を監視する。

 参院では、政府が収集した通信情報がACD以外の犯罪捜査など、目的外に利用される恐れがあると野党側が追及。石破茂首相は15日に参院内閣委員会に出席し、「サイバーセキュリティー目的の範囲を超えた利用は許容されない。適切に利用されているか監理委が継続的に検査する」と答弁。内閣委で賛成した5党は同委での可決に際し、取得した情報の使用をサイバーセキュリティー対策に限定することなどを政府に求める付帯決議を共同で提出して採択した。

 参院に先立つ衆院審議では野党側が、憲法21条が保障する「通信の秘密」の制約につながる恐れがあると主張。このため、与野党6党派が修正案を共同提出し、「通信の秘密」を含む国民の権利と自由を「不当に制限するようなことがあってはならない」と明記する修正が加えられ、参院に送付されていた。

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