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衆院本会議で、サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(ACD)」を導入する法案が可決された=2025年4月8日午後1時41分、岩下毅撮影

 サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」を導入するための関連法案が8日午後、衆院本会議で自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決し、参院に送られた。共産党とれいわ新選組などは反対した。少数与党下の衆院を通過したことで、同法案の今国会中成立の公算が大きくなった。

  • 能動的サイバー防御法案への期待と懸念 外交トラブルのおそれも?

 ACDは、サイバー攻撃を未然に防ぐため、国が通信情報を収集・分析し、攻撃の兆候があれば相手サーバーに侵入して無害化できるようにするもの。政府はIPアドレスや送信日時などの機械的情報のみを分析し、メールの中身など通信の本質的な内容は対象外だと説明してきたが、衆院審議では野党各党から憲法21条が保障する「通信の秘密」の制約につながるとの懸念が示された。このため、与野党6党派の共同提出により、「通信の秘密」を含む国民の権利と自由を「不当に制限するようなことがあってはならない」と明記する修正が加えられた。

 分析対象の情報について政府は、国外から日本を経由して国外に向かう「外外通信」と、日本と外国間の「外内・内外通信」に限定すると説明。ただ、平将明サイバー安全保障相は将来的に国内間通信へ広げる可能性について「その時点で検討されるべきもの」と、明確に否定しなかった。分析対象が際限なく拡大することへの懸念や、独立機関による政府の運用状況の監視が実効性をもった内容になるかなどが参院審議でも焦点となる。

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