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「食材から話しかけてきてくれる。声に導かれるように手が動いていました」。北崎裕さん(51)は、能登半島に暮らすようになって料理に起きた変化をそう話します。
都市の市場に行けば、各地から届く食材が、競うように季節を先取りしています。ところが能登では、いま目の前にあるもの、手にふれるものがすべて。季節の中に丸ごと自分もいる感覚です。
使う調味料は減りました。しょうゆや砂糖は大きな存在ですが、まだなかった時代の人々も、おいしく食べていたと想像してみる。海の塩味、土の滋味、素材の持つうまみや甘み。それらを中心に置き、現代の味覚との橋渡しに、スパイスと少しの油を使います。
思い出すのは子どもの頃、休…