能登半島地震の被災地では、必要な応急仮設住宅の約7割が完成し、入居が進んでいる。今後は入居者の孤立を防ぐため、見守りの態勢をいかにつくるかや、恒久的な住まいをどのように確保するかが課題になる。(千種辰弥)

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 被災地で最も多い2282戸の仮設住宅が完成した石川県輪島市。市内の仮設住宅では5月、一人暮らしの70代女性が亡くなったこともあり、見守り事業の委託を受けた公益社団法人「青年海外協力協会(JOCA)」(長野県駒ケ根市)が、入居者の見回りに力を入れている。

 6月上旬、スタッフ2人が訪れたのは、26戸の仮設住宅が集まる「小伊勢町第2団地」。縁側に座って休んでいるところに声を掛けられた清水正紀さん(73)は、1Kの部屋に妻と暮らしている。

 地震で、輪島塗を製造・販売していた店舗兼住宅は全壊。年齢的に再建は難しいと感じたが、祖父の代から引き継いできたものを途絶えさせることに、悔しさとさみしさが募る。部屋にこもりがちになったころで、「話をでき、胸にたまっていたものがなくなった」と笑顔を見せた。

青年海外協力協会のスタッフと話す清水正紀さん(左)=2024年6月9日、石川県輪島市、千種辰弥撮影

「いつ訪れても部屋にいる人が心配」

 JOCA事務局長の堀田直揮…

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