能登半島地震で倒壊した家屋=2024年1月2日、石川県珠洲市、朝日新聞社ヘリから、細川卓撮影

 元日の能登半島地震はいつ発生したか? 気象庁は、「16時10分頃」と発表し、政府の地震本部はじめ多くが引用する。だが、どこからを地震の始まりとするか、「実はむずかしい問題」と専門家は言う。

 地震の発生時刻や位置、規模を記した気象庁の震源カタログによれば、マグニチュード(M)7.6の地震の発生は、16時10分22.5秒。

 その一つ前は、同10分9.5秒でM5.9。非常に近い場所で、13秒前に規模が違う地震が発生していた。

 13秒前のこの地震に注目したのが、京都大防災研究所の浅野公之教授。M7.6の地震の始まりの時刻は、こちらではないかと考えた。

 地震は、地下の岩盤が、ある面(断層)を境にずれ動く現象で、その際に生じる地震波が遠くまで伝わり各地で観測される。浅野さんはそれをさかのぼり、観測された地震波から、断層がずれ動いた様子を解析で再現している。

 結果は、碁盤の目のように区分けされた長方形に示される。長方形は仮定した断層で、各区画のずれの量が表される。

 破壊が始まる時刻を、気象庁による16時10分22.5秒、場所は石川県珠洲市の地下から始まったとして解析すると、石川県輪島市など西側の断層に破壊が伝わる時刻と、地震波の観測結果があわない。いろいろ悩んだが、一つ前の13秒前の震源から始まっていた可能性を思いついた。

 16時10分9.5秒から地…

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