住宅再建共済の加入率の推移

 年額5千円を払うと、自然災害で住宅が被災し、新たに住宅を建築・購入した場合に600万円が給付される。兵庫県内に住宅を持つ人なら加入できる全国唯一の住宅再建共済制度が、この秋で20年目に入った。

 「フェニックス共済」と名付けられた制度は、2005年9月に兵庫県が創設した。1995年の阪神・淡路大震災で多くの被災者が住宅再建に苦しんだことから、住宅所有者の助け合いの仕組みとして作られた。

 加入できるのは兵庫県内に住宅(戸建て、マンションなど)を所有する個人や法人。掛け金は1戸あたり年額5千円。自然災害で半壊以上(損害割合が20%以上)の被害を受け、県内で住宅を新築・購入すると一律で600万円が給付される(県外の場合は半額)。被災住宅の築年数や規模などに関係なく、定額給付が特徴だ。

 住宅再建に備える制度のため、補修にとどめた場合は最大200万円、補修もしない場合は10万円の給付が基本となる。

 地震に限らず、台風や洪水、落雷による火災など、あらゆる自然災害が対象だ。

 09年8月に佐用町で18人が死亡、2人が行方不明になった豪雨災害では、住宅再建共済に加入していた214戸に計4億4680万円が給付された。

 制度が始まって以来、今年8月末時点で累計454戸に計6億8915万円が給付されている。

 一方、加入戸数は伸び悩んでいる。

 8月末時点の加入戸数は約16万戸で、県内の住宅の9.4%。制度設計時の地震保険の加入率を参考に、加入率の目標を15%と掲げているが、2018~21年度の9.6%が最高だ。

 制度を運営する公益財団法人「兵庫県住宅再建共済基金」によると、住宅の売却や加入者の死亡、高齢化から脱退するケースがあるという。

 それでも、各地で大きな災害があると新規加入が増える傾向にある。1月の能登半島地震後、1~3月の新規加入戸数は計1245戸で、前年同期(629戸)の2倍だった。南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表された8月には710戸の加入があり、昨年8月(561戸)の1.3倍だった。

 担当者は「災害が相次ぐなか、備えの一つとして共済制度を利用していただきたい」と加入を呼びかける。問い合わせは県住宅再建共済基金(078・371・1000)へ。(小池淳)

共有
Exit mobile version