石川県輪島市町野町で唯一のスーパー「もとやスーパー」が1日朝、今年の営業を始めた。午前10時から店の前で餅つきが始まり、きなこ餅やあんころ餅が振る舞われた。
例年、元日は1年で唯一の休業日だった。昨年の元日、大きな揺れの後、集まった地域の人たちに翌2日の初売りに備えて仕入れていたパンや水を提供した。停電や断水の中、元日から休まず営業を続けた。
だが、昨年9月の豪雨で近くの川が氾濫(はんらん)し、店舗の1階部分が水没。休業を余儀なくされた。それでも、全国から集まったボランティアが泥をかき出し、炊き出しをして地域を支え続け、11月末に復活オープンを果たした。
本谷一知社長(47)は「年内に明かりをつけることを目標にやってきた。だから、1日から明かりをともさない理由はない」と、元日からの営業に踏み切った理由を話す。「新しいものをつくっていくような年にしたい」
いまは仮設住宅に住み、きなこ餅を受け取った田村幸子さん(76)は「ここは、地域にとってなくてはならない存在」と目を細め、「穏やかな年になってほしいですね」と話した。