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車庫を改築したスペースで、在宅避難の女性(右)の健康状態を見る看護師=2024年5月22日午前9時38分、石川県珠洲市、金居達朗撮影

 能登半島地震から5カ月。市町が開設する避難所が縮小するなか、被災した自宅にとどまる在宅避難者や、ホテルや親戚宅などで暮らす遠方の避難者の実態把握が課題となっている。仮設住宅の入居者も増えつつあり、初の孤独死も確認された。行政の目が届きにくい「見えない避難者」を、どう支援するか。(上田真由美、久保智祥、千種辰弥)

避難所では暮らせず、在宅避難

 石川県珠洲市の海沿いの正院地区。明上(みょうじょう)貴行さん(41)は3月、避難先の金沢市から、妻と中学生の子ども2人と共に傾いた自宅に戻ってきた。子どもたちは友達がいる地元の中学校に通うことを望み、犬がいて避難所では暮らせなかった。

 自宅は一部損壊と判定され、半壊以上が対象の仮設住宅には入れない。液状化のせいか、家の傾きは徐々に悪化。床にボールを置くと勢いよく転がる。妻は頭痛と吐き気を訴え、ご飯をおかわりするのが当たり前だった中2の長男も「おなかがすかない」と言う。下水道が復旧せず、5月下旬まで風呂もトイレも使えなかった。自費で修理したが、今も流れが悪い。

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能登半島地震で傾いた明上貴行さんの家。夜には真っ暗になるといい、妻が地域にわずかに残る近所の人に少しでも明かりをと、太陽光電池のついたイルミネーションを買って壁にとりつけた=2024年5月11日午前8時55分、石川県正院町、上田真由美撮影

 内閣府の指針は、避難所に居場所を確保できずやむを得ず自宅で避難生活を送る人や、ライフラインが途絶した中で不自由な生活を送る人を「在宅避難者」と定義する。

  • 【そもそも解説】地震で被災…避難所や在宅でどんな支援受けられる?

 発災直後から被災者の支援を続けるNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」の現地責任者、橋本笙子さん(59)は「今回の在宅避難はこれまでの災害と違う」と強調する。理由は水だ。

 電気と水道が回復すれば、避…

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