財政問題や人口減少など、自治体が抱える問題は山積し、公務員に求められる能力も変化している。前例踏襲だけではなく、課題解決につながるような提案を職員に促そうと、各自治体が取り組みを進めている。
愛媛県中部の中予地域は、生け花や花束、リースなどに使われる観賞用ユーカリの主要な産地となっている。ただ、2019年ごろから、株が枯れる症状が発生し、栽培面積や生産量が伸び悩んでいた。
そんな中、県の中予地方局地域農業育成室に21年度から配属になった寺西優樹さん(31)=現県農産園芸課=は、株枯れの症状が水はけの悪い圃場(ほじょう)で多発していることに目をつけ、地面に縦穴を開けて水はけをよくする対策に取り組んだ。
さらに、局に割り振られた予算を使った「観賞用ユーカリ産地拡大事業」を提案。22年度から3年にわたる事業に取り組んだ。
株枯れ対策のほかにも、苗木の安定供給や市場ニーズに沿った生産も進めた。コロナ禍で、以前から需要があった生け花用の枝が長いタイプだけでなく、ミニブーケ用の家庭需要が伸びていることに目をつけ、枝が40センチほどの短いものの出荷を始め、長い期間の出荷を可能に。農家所得の増加につなげた。
この事業で栽培面積は20年度の12.5ヘクタールから、23年度は19.8ヘクタールに増え、生産額も約2倍に伸びた。
職員の提案「できたらイイネ!」
成果が評価され、寺西さんは…