現場へ! 逆風 風力発電(3)
小雨のなか、手で岩肌にふれるとボロボロと崩れた。近くに住む農家の成岡篤史さん(45)は「大雨が降ったら、土砂崩れになるんじゃないかと不安です」と話す。
6月下旬、三重県松阪市西部の飯高地区の山中。奈良県境に近い山の尾根に、環境NGO(非政府組織)の日本自然保護協会が「国内の風力発電計画で最も懸念がある」と問題視する計画がある。
事業を計画する東急不動産グループの再生可能エネルギー会社、リニューアブル・ジャパン(東京)が2021年に出した計画段階環境配慮書によると、最も高いもので183メートルの風車を最大60基つくる。この地域には国定公園があり、イヌワシやクマタカといった絶滅が危惧される猛禽(もうきん)類の生息が確認されている。
「非常に崩れやすい地質」
住民が気がかりなのは、この付近には日本列島を東西に横断する断層帯「中央構造線」が通り、「非常に崩れやすい地質」が目立つことだ。
リニューアブル社は文書で「科学的な根拠を示していない」などと反論している。
2021年7月、住民から計画を初めて聞いた松阪市の米倉芳周市議(66)は「風車を建てる工事で尾根を崩すと、飲み水に使う水源地に影響が出るのでは」と不安を覚えた。
仲間を見つけようと、知人の…