創業65年を迎えた奈良市花園町の銭湯「花園新温泉」。燃料代の高騰などで経営が厳しくなる中、地域の若者が銭湯部を立ち上げた。昔ながらの「実家系銭湯」を次の10年につなげるため、クラウドファンディング(CF)に挑戦。ボランティアによる定期清掃や音楽ライブなど、枠にとらわれない活動も始めた。
花園新温泉のクラウドファンディングは、CFサイト「モーションギャラリー」内のページ(https://motion-gallery.net/projects/hanazono_shin_onsen)で受け付けている。8月27日まで。
古着市や「移動花屋」によるアレンジメント販売、カレーのテイクアウト。同銭湯で24日、2回目となる「ならまち銭湯部 文化祭」が開かれた。15畳ほどの脱衣室であった音楽ライブでは、約20人が奈良で醸造されたクラフトビールを片手に、鳴り響くギターと歌声に酔いしれる。文化祭が終わると、一部はそのまま湯船に入り、日頃の疲れを取った。
ボイラーが故障、交換に500万円
ならまち銭湯部は「銭湯でやりたいこと、全部やってみる」が合言葉。きっかけは、老舗の危機だった。
花園新温泉は、森田正美さん(64)が夫の裕治さん(67)、母の生田弘子さん(90)と経営を続けてきた。しかし、昨年末にボイラーが故障。応急処置をしたが、いつまた使えなくなるか分からない状況となった。
交換費用は500万円。運転資金も苦労する中、全額を出すことは難しく、店じまいも頭をよぎった。そんなとき、向かいで古民家宿「西村邸」を営む杉本雄太さん(38)が、5年前にCFをしていたことを思い出した。
一度なくなったら、元に戻らない
「僕らにもできるかな」。森…