脳死の人からの臓器提供を円滑に進め、移植を受けやすい環境を整備するため、厚生労働省は今の体制を大幅に見直す方針を決めた。眼球以外の臓器提供では国内に一つしかないあっせん機関を複数整備することを検討するほか、医療機関とあっせん機関で、「脳死とされうる状態」の患者の情報共有の強化にも着手する。
14日の臓器移植委員会で議論を始める。
厚労省によると、脳死下の臓器提供ができる医療機関は国内に約900施設ある。だが、臓器提供の経験があるのは約300施設にとどまる。うち110施設はこれまで1件しか経験がなく、地域差も大きい。
臓器提供できる可能性があっても、その選択肢を家族に示すことが十分にできていないことも指摘されている。厚労省の推計によると、2022年度、脳死とされうる状態の患者は約4400人いたが、家族に臓器提供の選択肢が示されたのは1113人(25・2%)。22年度に実際に脳死下の臓器提供に至った人は105人だった。
仮に脳死判定をした場合に脳死とされうる状態になったと診断されれば、臓器提供を含む終末期医療に移行する。家族が希望すれば、あっせん機関がコーディネーターを派遣して、臓器提供に関する説明をする。
臓器のあっせんには厚労相の…