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公正取引委員会

 自動車のミラーを製造する「美里工業」(群馬県藤岡市)が、部品の製造に使う金型などを下請け業者に無償で保管させたとして、公正取引委員会は29日、同社の下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請)を認定し、保管費用の支払いや再発防止を求めて勧告した。同様の勧告は2023年3月以降で21件目。

 公取委の発表によると、美里工業は遅くとも23年9月以降、部品製造に使う計2029の金型などを、製造を委託した下請け業者14社に無償で保管させていた。いずれも1年以上、発注がない状態だったという。

 金型は軽いもので重さ約150キロ、約30センチ四方で、重いものは約4400キロ、約1メートル四方。1992年から一度も発注がないまま無償で保管させられていたものもあったという。下請け業者は、こうした金型を倉庫などで無償で保管していた。

「費用の捻出が難しかった」

 美里工業は公取委の調査に「保管費用を支払う必要があることは認識していたが、その費用を捻出することが難しかった」などと説明。すでに金型などの回収作業を進め、保管費用の支払額を協議していくという。

 公取委はまた、同社が23年9月~今年3月、下請け業者10社に対し、製造委託したミラー部品などを検品せずに「傷がある」などを理由に返品したとして、下請法違反(返品の禁止)も認定した。下請法は、納品された製品を品質検査せずに返品することを禁じている。同社は約261万円分の製品を品質検査せずに返品したといい、公取委は代金相当額を下請け業者に支払うことも勧告した。

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