自動車業界を取り巻く環境が厳しさを増しています。電気自動車(EV)の普及にブレーキがかかり、「トランプ関税」に翻弄(ほんろう)され、再編の見通しも不透明です。業界と二人三脚で歩んできた電子部品大手アルプスアルパインの泉英男社長に現状と見通しを聞きました。
- 日本の景気は「足踏み状態」が過半 企業トップが懸念する動きとは
――世界各地の自動車メーカーに車載機器を販売している立場から、自動車市場の動きをどう捉えていますか。
「当社の場合、顧客は日本だけでなく、北米、欧州、中国と分散しています。北米と中国という二大市場のうち、3年ほど前から中国市場に変化が出ています。中国メーカーのシェアが拡大し、他国のメーカーは縮小しています。中国メーカーは車載機器を主に中国企業から調達するので、当社への影響も小さくありません。北米市場は今年に入って冷え込んでいます。ひとえに、米国に入る自動車に高関税を課したトランプ政権の通商施策によるものです」
HV車、ガソリン車への単純な回帰にはならない
――逆風ですね。
「自動車産業の構造的変化という点では、EV販売の減速がやはり大きいです。EV市場をリードしてきた欧州で補助金が縮小し、充電ステーションの設置ペースも落ちています。経済性、利便性が下がった製品は売れません。背景には欧州財政の悪化があるのでしょう。スウェーデンの電池メーカー・ノースボルトが3月に破産申請したのも、EVの苦境を象徴しています」
――そうなると、ハイブリッ…