自然界にいる2種類の細菌を使ってがん細胞を攻撃し小さくすることに、マウスを使った動物実験で成功したと、北陸先端科学技術大学院大や筑波大などの研究チームが5日、英科学誌に発表した。従来とは異なるアプローチで、治療方法の確立につながる可能性があるという。
北陸先端大の都英次郎教授(生物工学)らのチームは、自然界の細菌が動物の細胞を攻撃する力を活用した。抗がん剤治療や外科的な切除など従来とは異なる方法で、がん治療の選択肢を増やすことを目的としている。
細菌は、田んぼなどにもいる「ロドシュードモナス・パルストリス」と、マウスのがん細胞で見つかった「プロテウス・ミラビリス」という2種類。いずれも、がんが体内で生み出す酸素が少ない環境に集まりやすい。
チームはヒト由来の大腸がん、卵巣がん、膵臓(すいぞう)がんを植え付けたマウス計25匹に対して、2種類の細菌を一緒に注射して、効果を調べた。
その結果、ロドシュードモナス菌が血液を通じて、がん細胞まで菌を運ぶ役割を担い、がんに到達したプロテウス菌が爆発的に増加した。プロテウス菌は、がん細胞や周辺の血管を解かすたんぱく質を大量に放出し、細胞への栄養供給を途絶。さらに、菌の体がやりのように伸び、細胞を貫くように破壊することがわかった。
いずれのがんでも、当初数百…