欧州の国境でパスポートチェックなどをなくし、人々が自由に行き来できるようにする「シェンゲン協定」の締結から、14日で40年を迎えた。この協定は欧州が一つにまとまる「欧州統合」の象徴とされてきた。しかし、近年は不法移民の増加などを理由に、ドイツなど国境審査を実施する国が増えており、当初の理念は色あせつつある。
- スケープゴートにされた移民 門戸を閉ざす欧州で「選別」が進むわけ
14日の締結記念日を前に、12日夜、協定が締結されたルクセンブルクの南東端の村シェンゲンに、加盟国の内相らが集った。
シェンゲンは、ルクセンブルク、フランス、ドイツの国境が交わる小さな村だ。国境を越えた「統合」の象徴として、40年前にこの地で協定が結ばれた。欧州連合(EU)の単一通貨や単一市場へとつながる、大きな一歩だった。
当時、調印式が行われたマリー・アストリッド王女号の船中で行われた記者会見で、EUのビルクネン欧州副委員長(安全保障担当)は、「世界的に不確実性と脅威が深まる時代に、欧州の自由と団結を保障するシェンゲン協定は、戦略的資産であり続けなければならない」と意義を強調した。
西欧5カ国からスタートした…