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十勝農業試験場に立つ「エリモショウズ記念碑」=北海道芽室町
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現場へ! あんこを守れⅡ②

 北海道は、国産小豆の9割を担う生産地だ。本州で作る農家は激減し、あんこ好きには頼みの大地である。

 道立総合研究機構・十勝農業試験場(芽室町)の始まりは明治の開拓期。前庭に、昭和に生まれた代表的な小豆の優良品種「エリモショウズ」をたたえる碑が立っている。どら焼きやようかんに「エリモショウズ100%です」と胸をはる商品があるが、ここがふるさとだった。

 広い圃場(ほじょう)に目をやると、風が吹いて土煙があがった。小豆育種の責任者・堀内優貴さん(43)は、「雨を待っているのですが、雲がなかなか日高山脈を越えて十勝まで来てくれなくて」と空を仰ぐ。大不作となった昨年分を取り戻したいと、今年の作付けには皆が望みをかけている。

 国産の需要と供給はぎりぎり綱渡りの状況が続く。自給率は約6割で低下傾向。カナダ産が伸びている。

 堀内さんは、道産の10アールあたり収量の推移のグラフを見せてくれた。ジグザグ大きく上下しながら、右肩上がりに伸びている。数字は冷害の厳しさと、努力を続けた証しと読むことができる。

 育種の目標は、寒さに強いこと、たくさん実ること、加工した時の味がよいことに置いていた。加えて病気に強いこと、生産効率を上げることが急務になっている。どちらも、農家が小豆から離れる原因だからだ。

 堀内さんは「わたしが育種を…

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