社会学者の太田省一さん

 自分をおとして笑わせようとする「自虐ネタ」。それはいつから、笑いの基本形になったのか。テレビとお笑いについて、戦後日本社会との関係から考察を続ける社会学者の太田省一さんに聞いた。

笑いは時代の価値観に影響される

 自虐ネタは、容姿や年齢、出身地、職業、学歴など自分の「属性」を題材にします。どこまでを笑いにできるのかは、その時代の社会規範や価値観に大きく影響されます。

 自虐ネタ漫画をベースにした大ヒット映画「翔んで埼玉」を見て、真面目に抗議したりする埼玉県民はもはや少ないでしょう。

 映画でも流れる、さいたまんぞうの「なぜか埼玉」(1981年)や、吉幾三の「俺(お)ら東京さ行ぐだ」(84年)は発売当時、うたわれた地元からの批判もあったと聞きます。でも、今は地方自体が「何もなさ」を逆手に魅力を宣伝する時代で、誰も「地方差別」とは思いません。

 私はタモリやビートたけしが…

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