本松敬史・元陸上自衛隊西部方面総監=3月、東京・永田町
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現場へ! 自衛隊「サイハ」の今④

 能登半島地震への自衛隊の災害派遣から、どんな教訓が見えてくるのか。東日本大震災以来、陸自幹部として様々な災害派遣に携わった本松敬史・元西部方面総監(61)に3月7日、話を聞いた。

 国防が「主たる任務」の自衛隊を災害派遣するには、緊急性、公共性、自衛隊でないとできない非代替性を必要とする。その「3要件」は今回の発災時に満たされていたと本松氏は述べた上で、初動の難しさをこう語った。

 「自衛隊の活動には、大量動員性、多機能性、他者に頼らず活動できる自己完結性がある。都道府県知事は過去の災害派遣の経験則から、この『3属性』に期待して要請してくるようになりました」

 「ところが今回は大量動員性が大きな制約を受けた。集落が点在する半島を地震が襲い、道路が寸断された。北陸の強い風雪や沿岸部での隆起もあり、孤立した被災地へのアクセスは三重苦でした」

 ただ、被害は能登半島に集中し、陸自で日本を5地域に分けて管轄する5方面隊のうち中部方面隊で基本的に対応できている。本松氏が危ぶむのは、今後に南海トラフ巨大地震が起きた場合のことだ。

 「静岡から宮崎まで被害が及…

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