4月のU18日本代表候補強化合宿に参加した学法石川の大栄利哉

夏に咲く④学法石川 大栄利哉捕手

 4月に開かれたU18(18歳以下)日本代表候補の強化合宿で、攻守で強い印象を残した選手がいた。学法石川(福島)の大栄(おおさかえ)利哉(3年)だ。

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 直前にあった選抜高校野球大会に学法石川は不出場。「自分より上の人しかいない」。そんな不安をよそに、捕手として二塁送球で強肩を披露し、全国から集まった好投手たちから安打を重ねた。

 手応えを感じるほど、昨春の悔しさも思い出した。学法石川が四半世紀ぶりに甲子園出場を果たした昨年の選抜大会。1回戦の先発メンバーに、大栄の名はなかった。

 開幕の約3週間前、自転車に乗っているところを突風にあおられ、事故に遭った。左足靱帯(じんたい)の損傷、一部断裂、腓骨(ひこつ)骨折の大けがだった。

 4番で捕手に加え、ときにマウンドにも上がり140キロ超の直球を投げる。プロの世界を意識し、全国の舞台を待ちわびていただけにショックは大きかった。「どん底に落ちたというか、何も考えられなかった」

 1回戦の相手は、後に大会を制する健大高崎(群馬)だった。九回の好機に代打で出場したが、満足にバットを振れず、三邪飛に。チームも敗れた。「けががなければ、本当に勝負ができた」。健大高崎の勝ち上がりをうれしく思う一方、言いようのない思いが募った。

 左足の筋肉量を戻すことから再出発した。福島県内で大きな壁となっている聖光学院に勝つことを掲げ、今春は捕手に専念する。

 6学年上の兄・陽斗(あきと)さんは宮城・仙台育英、中大を経て、社会人野球のトヨタ自動車でプレーする投手だ。「兄と一緒にプロでバッテリーを組むのが目標」。利哉(としや)の名前は、兄が幼少期に夢中になった野球アニメ「メジャー」で、主人公とバッテリーを組む捕手の佐藤寿也(としや)が由来という。

 甲子園の1打席で対戦した健大高崎の石垣元気は今春、選抜大会で球速155キロをマークして注目を浴びた。「夏でしっかり結果を出して、春の石垣君ぐらいの話題を出せるような選手になりたい」。もう一度、輝く舞台をつかんでみせる。

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