芥川賞に決まった鈴木結生さん=2025年1月15日午後8時4分、東京都内、内田光撮影

 第172回芥川賞の選考会が15日、東京都内で開かれ、芥川賞は安堂ホセさん(30)の「DTOPIA(デートピア)」(文芸秋号)と鈴木結生(ゆうい)さん(23)の「ゲーテはすべてを言った」(小説トリッパー秋号)に決まりました。鈴木さんの横顔を紹介します。

 英文学を研究する大学院生が、芥川賞作家になった。

 福島県郡山市で本好きの両親のもとに育った。父は牧師で、実家は教会。小学3年で東日本大震災を経験した。支援にまわる父に連れられて、岩手や宮城の避難所を歩いた。大きなバッグに聖書や自作の漫画をたくさん詰めて。

 福岡に越した6年の時、東北の思い出を残したくて書いたのが初めての小説だった。ゲーテにブレイク、大江健三郎に丸谷才一。本を読み、書き続けてきた。

 小説の執筆は、記憶の部屋に…

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