この春、福岡県立修猷館高校(福岡市早良区)の図書館の窓辺に、ある卒業生の著作を並べたコーナーがお目見えした。
1月に「ゲーテはすべてを言った」で芥川賞を受賞した作家・鈴木結生さん(24)だ。
鈴木さんは2020年の卒業生。在学中は図書委員だった。展示には、委員が毎月食堂の前に掲示する手作りの壁新聞「Profile」も飾られている。
「好きなことを書きたいという気持ちがめっちゃ伝わってくるよね」
現役図書委員の高野琴音さん(17)が壁新聞を眺めながらつぶやいた。
鈴木さんの作品には「世界文学の樹木」と題して、古代メソポタミアの「ギルガメシュ叙事詩」や古代インドの聖典「リグ・ヴェーダ」から下に根を張るように、数十の作品・作家名が書かれている。「大切なマスターピースが入っていない!!という方は喜んで書き入れさせていただきます」との注釈もある。
【連載】「母校 知っと~?」
あの高校の伝統行事や名物はどう受け継がれている? 令和の時代の学校生活とは? 福岡県内のスクールライフの「いま」を描きます。
高野さん自身も最近、壁新聞を担当した。昨年のNHK大河ドラマ「光る君へ」を見て「ハマった」という「和漢朗詠集」の現代語訳つきの書籍から、読み下しの訓練にもなるお気に入りをおすすめした。
図書館の蔵書は約7万冊。1階の書庫には、明治時代の教科書や、各部活や委員会が発行してきた冊子も収蔵している。
図書委員会では生徒やクラス…