(24日、第107回全国高校野球選手権滋賀大会準決勝 綾羽8―6近江)
近江の遊撃手・山中悠斗(れふと)選手(3年)の帽子のつばには「魅」という漢字が書いてある。
「うちのショートや。こいつがポシャったら(ダメになったら)守備は終わりや」。大会前のある6月の練習。小森博之監督が連係プレーの指導のなかで、選手たちにそう言った場面があった。
内野の守備の要である遊撃手。伝統的に堅守を誇る近江では、そのポジションはさらに特別だ。華麗に打球をさばける名手たちが務めてきた。
山中選手は1年の秋からレギュラー。「花のある、魅(み)せる守備」を心がけて、練習に励んだ。その守備はチームで一目置かれ、山中選手を中心とした堅守は今大会でも、投手陣をもり立てた。
準決勝の相手は、昨年の準決勝で敗れた綾羽。チームは九回に逆転されて敗れ、2年ぶりの優勝はかなわなかった。1番打者の山中選手は4打数2安打だった。
守備では、山中選手はこの日も無失策。だが、初回に許した内野安打を「完全にエラー」と悔やみ、「大学で活躍して恩返ししたい」。そして、近江の遊撃手について、こう言った。「プレッシャーもあったけど、すごいいい場所でした」