「花の浮島」で知られる礼文島(北海道礼文町)の固有種レブンアツモリソウが、観光客の目を楽しませている。環境省は今年3月のレッドリスト改定で、絶滅リスクが低下したとして絶滅危惧ⅠB類から準絶滅危惧に2ランク下げたが、地元は「安心はできない」という。
レブンアツモリソウはラン科の多年草で毎年5月下旬~6月下旬に淡黄白色の大きな袋状の花を咲かせる。1980~90年代は盗掘が多発。その後はササなど草丈の高い植物の陰になるなど生育状況が悪化し、生息地が減少していった。
町や環境省、林野庁が2016年から10年間の保護増殖ロードマップをつくり、ササ刈りなど群生地の保全や生育環境の改善などに取り組んだ。この結果、21年の調査で、新たな生育地も確認され、開花数は16年の約3000から約5400にほぼ倍増した。
ただ、町の担当者は近年の夏の暑さを気に掛ける。夏でも25度前後という涼しさが島の高山植物を守ってきたが、最近は30度近くになる日あるという。担当者は「レブンアツモリソウは夏に暑いと翌年の開花数が減る傾向にある。絶滅の危険度が下がったからといって安心は出来ない」と話す。
把握されている生息地は主に島の北部と南部で、観光客には北部鉄府地区の木道エリアと展望エリア、船泊海岸浜エリアの3カ所を公開している。