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 ある種の多年生植物は、天気の時には花が上を向き、雨の日には下を向く。それは受粉のために虫を呼び寄せたり、雨で花粉がだめにならないようにしたりするためだったことを、京都大学の研究チームがつきとめた。種を多く実らせようと植物が能動的に活動しているのだという。

写真・図版
晴天時のハクサンハタザオ。上を向いた花をめがけてハチがやってくる=兵庫県多可町、京都大学生態学研究センター提供

 研究チームが実験で用いた、ハクサンハタザオは一つの株から複数の白い小さな花を咲かせるアブラナ科の多年生植物で、日本列島に広く自生する。晴れた日の昼間には花が一斉に空に向き、雨の日には地面の方に向く。天候によって花が上を向いたり下を向いたりする現象はこれまで報告例がなく、そのメカニズムや理由はよくわかっていなかった。

 研究チームは、兵庫県多可町に自生するハクサンハタザオを2年間にわたって観察した。その結果、天気がよい時は午前10時ごろに花は空の方を向き始め、午後4時ごろには下を向き始めた。受粉を手助けするハチなどの虫は晴天時ほど活発で、花が上向いている時ほど受粉の頻度が高かった。一方、曇りには花がそれほど上に向かず、雨では昼間でも下を向いた。

■付け根の茎を伸ばして花を上…

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