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位置情報を調べるためのGPSを首に装着したツキノワグマ=栃木県、写真家の横田博さん撮影

 花咲く森の道、クマさんに出合った――。誰もが口ずさんだことのあるフレーズだが、実際はクマは道路を避けている可能性が高く、遭遇する機会は少ないかもしれないことを、東京農工大などの研究チームが明らかにした。

 人間との接触を避けるためと考えられるが、繁殖や食べ物を手に入れたいときにはリスク覚悟で道路を渡るとみられるという。

 東京農工大の小池伸介教授(生態学)らのグループは、2005年から23年にかけ、栃木県や群馬県にまたがる山林で46頭のツキノワグマにGPSを装着して1年間の行動を記録。複数年にわたって装着した個体もいたため、延べ161頭分の行動記録を集めた。

 その結果、ツキノワグマは昼夜を問わずに道路の横断を避ける傾向があると判明。警戒心が高く、人間と接触しないようにしているとみられるという。

道路の直前で止まるクマも

 ただ、繁殖期である夏は、オスはメスより行動範囲が広く、高い頻度で道路を渡っていた。冬眠に備えて多くの食べ物を探す秋には、オスもメスも行動範囲が拡大。メスは、夏に横断しなかった車の通行が多い道路なども渡るようになった。

 チームは、繁殖相手を探した…

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