出塁し、マウンドを見つめる鈴木聖悠選手=2025年7月18日午前11時36分、花巻球場、長野剛撮影

(18日、第107回全国高校野球選手権岩手大会3回戦 高田8―4花巻南=延長10回タイブレーク)

 終盤に追い上げ、土壇場で同点に追いついた花巻南。立役者は4打数4安打の鈴木聖悠選手(3年)だ。

 七回2死、鈴木選手の内野安打を起点に2点を返す。九回もバントの構えから内野安打とし、4連打などでの同点劇に貢献した。

 六回まで、チームは鈴木選手の2安打のみ。最初の打席は「仲間がフライを打たされていたので、ゴロでたたきつけよう」と、左前安打。次打席は「前に直球を打ったので、変化球で来る」と、左翼へライナー性の打球で二塁打を放った。

 ベンチに帰る度、見たこと考えたことを皆に伝えた。酒井典生監督は「実際、それが奏功したのかは分かりません。でも彼のおかげで気持ちが途切れず、反撃できたのは確か」とねぎらう。

 2年生まで打撃に苦しんだ。今春、着任した田巻晃コーチに「自分のスイングをしなさい」と助言されたのが転機になり、「何が良く、何が悪かったのか」を考えるようになった。

 試合後、鈴木選手は爽やかな表情。「高校3年間の集大成のような試合ができた。これからは夢に向かって頑張ります」。大学に進み、救急救命士をめざすという。

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