巧みな身体表現に、歯に衣(きぬ)着せぬトークを交えた多彩な芸人として熱狂的なファンに慕われたマルセ太郎(1933~2001)。生前ともに劇場に立った娘の梨花さん=大阪府=が22日、父が生まれ育った大阪の猪飼野(いかいの)で、生前の舞台映像の上映を交えたトークライブを開く。
マルセ太郎は、日本の植民地支配期に済州島から大阪へ船で渡った両親のもとに生まれ、在日朝鮮人が肩を寄せて暮らす猪飼野の長屋で育った。府立高津高卒業後に俳優を目指して上京。パントマイムに漫談、サルなどの形態模写、1本の映画を丸ごと1人で演じて語り尽くす映画再現芸「スクリーンのない映画館」などひとりで各地の舞台に立ち、多くの観客を魅了した。
還暦を迎える頃からは喜劇集団「マルセカンパニー」を率い、在日一家の日常を描いた自伝的作品「イカイノ物語」などの劇作、公演にも力を入れた。
一方、父と、同じく済州島にルーツがある在日2世の母との間に生まれた梨花さんは、旅行会社に勤務後、2年4カ月かけて世界17カ国を放浪。日本に戻ると旅先での数奇な体験談を小劇場でのトークショーで披露した。「イカイノ物語」をはじめ父が率いるマルセカンパニーの芝居にも出演した。
2023年には、マルセ太郎…